「soil」上 幸せとは何か/コーチングと菌培養の類似性
- 由華 及川
- 8月6日
- 読了時間: 2分
北海道標茶町を拠点に活動する「soil(ソイル)」は、自然環境下で育てた菌を活用した微生物資材「MOOCAL-700(モーカル700)」や農家コーチング事業などを手掛ける。
代表の今村太一氏が大切にしているのは「人と菌に“余白”を与えること」だ。

■ 畑作・酪農家に広がるMOOCAL-700
モーカルは畑作4品(小麦、ビート、大豆、じゃがいも)を生産する農家や酪農家などを中心に供給。
北海道農業サポート協会(札幌)の協会員や、ドローン散布を手掛けるスマート農業関連企業などを通じて道内に普及中だ。
ほか、バイオマスやコンポスト関連の事業者からも問い合わせがあり、全道各地に広がっている。
■ 父の直観が育てた「菌」
MOOCAL-700の原点は今村氏の父が持つ「五感」だ。牛糞や自然由来の菌を活用し、自然環境の中で雑菌とともに育成。
手を加えすぎずに育てると、生命力の強い菌が誕生する。土壌にまいただけで自然に活性化する菌は、質の高い土壌を醸成してくれる。
「父は、自身の感覚・感性を頼りに誰にも真似できないやり方でMOOCAL-700を開発した」と今村氏は語る。「口に含んでも大丈夫な資材というのが誇り。自分の身体を実験台にして作り上げてくれた。時にはお腹を壊しつつ、実証を重ねていた」と笑う。
■microの森
2025年6月から始めた新事業「microの森」では、素人でも取り組める有機野菜のモデルづくりに挑んでいる。 約2ヘクタールの農地へ、100倍に希釈したMOOCAL- 700を散布し、土壌を改良。害虫対策には、相乗的に生育を助け合う「コンパニオンプランツ」のマリーゴールドを植えた。
初年のことしはラディッシュ、ルッコラ、じゃがいもなどを植え、生育を見守っている。

■ 引き算の営業
MOOCAL- 700の営業活動は、独自のコーチングスタイルで展開する。訪れた農家には、まず「幸せになるためにはどうすればよいか、どうしたいのか」を問いかける。悩みや目標を聞き出して、理想のライフスタイルや未来像を一緒に描く。その中でMOOCAL- 700がどう役立ち、課題解決に貢献するかを提案する。 決して押しつけず、相手のニーズにそぐわなければ売らない。それがsoilの信念だ。
■ 菌も人も、余白が大事
菌の働きを信じ、干渉しすぎずに育てるsoilの手法と、コーチングで相手の答えを引き出す姿勢は驚くほど似ている。「菌も人も、手をかけすぎず、余白を与えると勝手に伸びる」。今村氏、西神氏はその言葉を実践し続けている。






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